書とは、完成した一枚の紙だけの世界ではありません。
静かに始まり、静かに終わる――。
その間には、勢いある筆の動き、紙をかすめる音、
瞬く間に生まれる墨のにじみやかすれ、濃淡の景色が広がります。
そして、その書き手。
目を閉じ、息を整え、気を込める刹那の表情。
そこからあふれ出る力強い動き。
そして筆を置いたときの安堵の姿。
その後、不思議なことに、墨が乾くと固結と紙の収縮によって、
書は表情を引き締め、さらに存在感を増していきます。
気が高まれば高まるほど、これらすべての所作と流れ、
そして帰結が一体となり、ひとつの魅力的な創造物となるのです。
私たちは、この躍動と静寂を間近で感じ、
共に心震える感動を分かち合いたいと願っています。
そしてそのために、国内外を問わず多くの方々に、
日本の伝統文化をより深く味わっていただき、
真剣に、そして楽しく表現できる場を広げてまいります。
皆様からのご参加や励ましをいただければ、大きな喜びとなります。
歴史に育まれ、今もなお進化し続ける日本の伝統文化「書道」。美しい文字を書く以上に、心を整え、自分を表現する芸術として世界中で注目されています。まずは背景を知り、筆の持ち方や基本の技術を学びましょう。
学んだことをもとに、自由に表現。伝統に触れながら、自分なりの「美」を探し出す時間です。
「守・破・離」の最後の境地へ。基礎を踏まえ、自分だけのスタイルで思い切った作品を描いてみましょう。ここでしか味わえない特別な体験が待っています。
私たちは皆、それぞれに異なる癖や特徴を宿しています。それを慈しみ、磨き、活かすとき、それは唯一無二の個性となって輝きます。
そして辿り着く境地はこうです――
「書とは、文字のかたちを借りて、自らが美しいと信じる表現を紡ぐこと」。
Learn More東京都町田市忠生2-5-33
埼玉県入間郡越生町龍ケ谷314
書は一度描いた線を後からうまく修正することが殆ど不可能な芸術である。
そのため、「精神のひらめき」と「瞬間的な偶然性」が大切である。
そして観る人を感動させるのは、そこに書かれた文字の意味内容ではなく、あくまでその表現を通じて訴えてくる或る種の力です。
この力はその書を創った人の全人間性の結晶です。
即ち西洋の人々が書を見る場合、それぞれの人が持っている美学の尺度でこれを測れば、たとえ文字は読めなくても、表現された墨の色、文字の形、線の動きにより書を味わうことができる。
歌詞のないリズムとメロディーだけの音楽を聴くのと同じように言葉はなくても。
また、それはピカソが画という手段によって何を強調しようとしているかということを知ることにも近い。
つまり、書の真髄を察知する手掛かりは各人が持っている美学に他ならないのである。
青山杉雨「文字精霊」より
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